株式会社エビデント(本社:東京都新宿区、社長:吉本浩之)が独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター(院長:下瀨 省二)を含む国内医療機関7施設との共同研究で開発した胃がんAI病理診断支援ソフトウェアが、学習データ※1に使用していない施設での連続症例における評価でAUC※20.96を達成しました。 AI病理診断支援ソフトウェアによる、腫瘍有無の判定イメージ エビデントは2017年より呉医療センター・中国がんセンターを中心とした共同研究を開始し、18年にコンボリューショナルネットワーク方式※3を採用した胃生検※4のAI病理診断支援ソフトウェアを開発、20年から精度の向上と汎用性の確立に取り組んでいます。今回は本AIの精度をより高めるため、見逃しやすい胃がんとされる印環細胞癌の学習データを新たに追加しました。そして実際の医療現場での性能を確認するため、学習データとして使用していない1施設から提供された病理画像を用いて検証を行いました。 ポイント
研究の背景エビデントは、製品やサービスにロボティクスやAI、IoTなどの新しい技術を積極的に取り入れ、お客様の現場の課題解決のサポートおよび作業フロー全体の効率向上に貢献することを目指しています。この考えに基づき2017年より呉医療センター・中国がんセンターを含む国内医療機関7施設との共同研究で取り組んできた胃がんのAI病理診断支援ソフトウェアは、当社が培ってきたスライド標本をデジタル画像化するホールスライドイメージングシステムの技術と融合させることで、一人病理医など過重な業務にあたる病理医の負担軽減や診断支援に役立ち、がん医療の均てん化(全国どこでも等しく高度な医療を受けられること)への促進に貢献できると考え、開発をスタートしました。 研究の内容今回は、本AIの精度をより高めるため、対象とする胃がんの種類をこれまでの6種から7種(腺癌:管状腺癌・低分化腺癌、乳頭腺癌、粘液癌、印環細胞癌、消化管間質腫瘍、MALTリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)に増やしました。これにより、日本における胃がん全体の9割をカバーしたことになります。 本AIによる胃生検の判定イメージ。上段:デジタル病理画像、下段:AI判定。陽性は赤、陰性は青で表示される。 まず、7種の胃がんの病理画像を用いて、病理医ががんと非がんの範囲を特定した学習データを作成し、AIに学習させました。次に、学習データ用に病理画像を使用した6施設と、使用していない1施設とに分けて評価を行い、施設間でAIの性能に差がないかを検証しました。すべての病理画像は、当社製品である高性能対物レンズ「X Line」を搭載したリサーチスライドスキャナー「SLIDEVIEW VS200」で取得しました。 学習データ用に病理画像を使用した6施設(6 facilities)と使用していない1施設(1 facility)の比較 社会的意義本AIを当社のホールスライドイメージングシステム製品に搭載し、医療現場に用いて多忙な病理医を支援することで、がん医療の均てん化への促進が期待されます。
※ホールスライドイメージングシステム「SLIDEVIEW VS-M1J」は、販売名「エビデント VS-M1-IVD1」の愛称です。 共同研究参加病理診断科施設(医療機関名)独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター、独立行政法人国立病院機構大阪医療センター、独立行政法人国立病院機構四国がんセンター、独立行政法人国立病院機構長崎医療センター、国家公務員共済組合連合会広島記念病院、一般社団法人呉市医師会呉市医師会病院、学校法人埼玉医科大学国際医療センター (※1)学習データ:機械学習モデルを学習させる上で必要となる情報のことです。 ▪株式会社エビデントについてエビデントは世界の人々の健康と安心、心の豊かさを実現するため、医学的研究分野、インフラ設備の点検、製造現場における品質管理、消費材に潜んだ有害物質の検出など、さまざまな現場におけるお客様の課題解決や成果の向上に貢献しています。 ▪会社概要会社名:株式会社エビデント |
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