信州の名工受賞 渡辺 智

良い方法を追い求めて、諦めませんでした

2018年信州の名工受賞 渡辺 智

わたなべ・さとし/1984年オリンパス(株)(現(株)エビデント長野)入社。
入社時より対物レンズ加工に携わり、装置メーカー用の特殊な高精度レンズも磨き上げる。
精度確保の難しいレンズや特殊材料のレンズも、豊富な知識と独自改善で高精度を実現してきた。
現在は(株)エビデント長野レンズグループに所属し、特殊レンズ加工を担当。
趣味はゴルフ。

渡辺 智

若くして“ベテラン”に

入社時の配属は、対物レンズの1ケ研磨職場でした。以来、ずっと対物レンズに関わっています。
その職場は女性ばかりの職場でした。当時の先輩たちは、結婚や子育て等の理由で順次退職されていく状況で、私が職場の最も古株、“ベテラン”になりました。一般的な“ベテラン”ではなく、この職場内で一番経験があるというだけで、職場の役割や責任を一手に背負うことになってしまったのです。
自分自身が“ベテラン”に見合う実績や知識が無いのは承知していましたが、身近に頼る人がいない状況でしたので、レンズ加工の教科書を何度も読み返しました。それをものづくりで実践することにより、技能習得を進めていきました。また、上司が技術的な視点でフォローしてくれたので、実践した方法がなぜ良かったのか、どこが悪かったのかを論理的に考えるようになりました。この状況・環境が、仕事に対する私の思考と行動パターンを決めたと言えます。今でも、このことを忘れないようにしています。

後輩たちには、自分の見る力、聴く力、考える力をコツコツと鍛えてほしいと思います。一瞬のパワー、瞬発力が必要な時はあるでしょうが、自分の能力を底上げする=地力を付けるには、正しいことを正しい方法で継続するしかありません。途中であきらめることなく目標達成に向けて、取り組み続けてほしいです。

高精度品として、お客様に選ばれた喜び

世の中に光学機器メーカーは限られています。製造装置メーカーの中には、製造プロセスを監視したり、測定するための光学ユニットを搭載することがあります。ある大手製造装置メーカーは、複数の光学機器メーカーに要求仕様を提示して、望む機能性能が発揮できるかを評価していました。その特注設計品は、経験したことのない高精度に仕上げなければなりませんでした。この時ほど、真剣に考え、頭を使ったことはありませんでした。その製造装置メーカーの要求に応えられたのが当時のオリンパス(現エビデント)だけで、製造装置に採用されたときは、ものづくりでお客様を満足させることができると実感し、たいへんうれしかったです。
また、特殊材料の高精度品を扱ったときには、自身の方法では全く精度を出せず、何人もの先輩に話を聞きました。いろんな裏技も聞き出しましたが、その精度は誰も達成した経験が無いという情報がもっともショッキングでした。成功した時には、先輩たちにも喜んでもらえたのに感激しました。
とにかく仕事は楽しく、納得いくまで付き合うように心がけています。

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