顕微鏡実験を加速する5つの実践的方法

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小蒲 健夫

小蒲 健夫

2020年 9月 30日

ラボへの復帰の際に共通する懸念は、どのようにして実験の遅れを取り戻すかということです。ソーシャルディスタンシングで貴重な時間が失われたかもしれませんが、実験の加速とスケジュールの維持に役立つスマートな秘訣がいくつかあります。

基本な戦略は、より早く、あるいはマルチタスクで同時並行する、またはその両方で作業を実施することです。しかし、どのようにするのでしょうか。答えは、ハイコンテント実験やハイスループット実験のユニークなアプローチに用いられる概念から学び、これを自分のプロジェクトに適用することです。

ここでは、顕微鏡実験を加速する5つの実践的方法について説明します。

1. より多くのサンプルを観察する

観察するスライドが3枚以上、またはディッシュが3枚以上ある場合、一度に観察してはどうでしょうか。

なぜなら設定が簡単だからです。倒立顕微鏡のステージには、寸法160 × 110 mmのKマウントのようなユニバーサルマウンティング標準品があります。加えて、多くの業者がさまざまなサンプルに対応するステージインサートを提供しています。

実験を同時に実施できるよう複数のディッシュまたは複数のスライドを観察することは手早く簡単な解決策であり、時間の節約となる大きな利点があります。フォーカシング、画像取得の最適化など、最も時間のかかる設定プロセスは複数のサンプルでほぼ同じであるため、このアプローチによってサンプル交換や一般的な実験設定の時間が短縮されます。

現在、施設がソーシャルディスタンシングを実践し、ラボへの出入りを制限し続ける中で、ラボ内にいる時間を短くすることも明らかな利点をもたらします。

multiple samples on a microscope sample holder

図1:1枚だけでなく3枚のディッシュを顕微鏡のステージに置くことにより、実験の準備や設定の最適化に費やす時間を減らし、ラボ内にいる時間を短くすることができます。

2. スピードアップを図る

次に、画像取得速度を最適化します。画像取得を減速させるよくあるボトルネックはフィルターや蛍光キューブの機械的な切り替えプロセスであるため、以下のアイデアについて検討してみる価値があります。

3. スループットと画質を両立させる

一般に、最高品質の画像を取得するよう試みる必要があります。なぜなら、画像は主なデータ源であり、ダウンストリーム解析の品質は画質によって決まるからです。しかし、プロジェクトを加速させるためには、実験の目的に必要とされる画質のレベルを検討する必要があります。ここでは、考慮すべき2つのことについて説明します。

4. データの一貫性と基準点を確認する

多くのサンプルを用いて実験を行う場合、データの一貫性と基準点がデータの信頼性と再現性にとって重要です。これを達成するには、以下のことに留意してください。

5. 夜間の機会を活用する

ハイコンテントスクリーニングシステムホールスライドスキャナーのような電動システムや自動システムには、画像取得にバッチ機能が備わっているものもあります。バッチ処理は解析ソフトウェアとも利用可能です。夜間に処理するのに十分なサンプルまたはデータがある場合は、試してみた方がよいでしょう。眠っている間にツールによって実験を続けることができます。

ただ、従業員の安全と健康を確保するために、ラボは毎日方針を変えているため、夜間の実験には想定外のロックダウンや施設の方針の突然の変更のリスクがあるかもしれないことにご留意ください。夜間実験を進める前に、その実施が許可されるかどうかを責任者に忘れずに確認してください。

小蒲 健夫

小蒲 健夫

シニアプロダクト・戦略プランナー、プロダクトマネージャー

小蒲健夫氏はEvidentのシニアプロダクト・戦略プランナーであり、顕微鏡カメラのプロダクトマネージャーも務めています。カメラを含むさまざまな製品の研究・開発部門で8年、製品計画、マーケティング、マネジメントで8年の経験を有しています。大阪大学でニュートリノ物理学の修士号を取得。