用途に応じた対物レンズをお探しいただけます

オリンパスの科学ソリューション部門を前身とするEvident は、オリンパス顕微鏡用の卓越した色収差補正と解像度を備えた最高級の対物レンズシリーズを提供しています。オリンパス時代に築かれた当社の100年を超える高精度の光学技術のレガシーは、Evidentとして継承されています。独立した企業として、光学イノベーションの伝統を基盤とし、明瞭さの限界を突破する新しい対物レンズを開発しています。

定評のある高精度の光学技術により開発された、当社の幅広いラインナップのレンズにより、可視スペクトル全体にわたって卓越した明瞭さを実現します。当社の対物レンズは、一般的な用途と専門性の高い用途のいずれにおいても、優れた性能を発揮します。この幅広いラインナップでは、研究者や病理医、マテリアルサイエンス研究者、品質管理チーム、機器設計者、およびその他の専門家向けに、超微細解像度、光学収差の最小化、または蛍光観察やDICイメージングなどの技術の最適な性能を追求する場合に、それぞれのニーズに的確に合った対物レンズを提供します。

当社の対物レンズセレクターは、オリンパスの対物レンズの幅広いラインナップから用途に応じた適切な対物レンズを簡単に見つけることができます。倍率、開口数、その他の仕様に分類し、選択肢を比較し、固有の観察ニーズにマッチする対物レンズを見つけます。レンズの選択に関するご質問は、よくあるご質問をお読みいただき、専門的な助言をお求めの場合は、当社チームまでお問い合わせください。

対物レンズのよくあるご質問

開口数(NA)とは何ですか?顕微鏡対物レンズにおいてなぜ重要なのですか?
開口数とは、対物レンズが光を集め、微細な細部を解像する能力の測定指標です。NAが高いほど、レンズは標本からより多くの光を捉えて、より細かな特徴を区別することができ、より明るい画像と高い解像度を得ることができます。実際に、NAの値が高い対物レンズでは、NAの値が低いレンズよりも、より微細な構造細部を見ることが可能になります。
色収差とは何ですか?アポクロマート対物レンズではどのように補正するのですか?
色収差とは、光の異なる波長が同じ点に集束しない集束エラーであり、これがあると、画像にカラーフリンジが生じます。標準的なアクロマート対物レンズは、2色(通常、赤色と青色)について補正しますが、多少の色ボケが残ることがあります。アポクロマート対物レンズは、3色(赤色、緑色、青色)を共通の焦点に集めるよう設計されており、これにより、色収差をほぼ完全に取り除き、色が正確で鮮明な画像が得られます。オリンパスのプランアポクロマート対物レンズは、この高度な補正能力を活かし、マルチカラー蛍光実験においてもハロのない画像を生成します。
アクロマート対物レンズ、フルオリート(セミアポクロマート)対物レンズ、アポクロマート対物レンズの違いは何ですか?

対物レンズの光学補正の度合いを指します。

  • アクロマートレンズは最も一般的なレンズで、2つの波長(通常、赤色と青色)で色収差を補正し、1色で球面収差を補正します。
  • フルリオート(セミアポクロマート)対物レンズは、特殊なガラス(フルオライト)を使用することでより優れた補正を実現し、通常、より多くの色を集束させ、球面収差を改善し、コントラストを向上させ、アポクロマートレンズよりも高いNA(開口数)が得られます。
  • アポクロマート対物レンズは最も補正度が高く、3つ以上の波長を集束させ、複数の色で球面収差を補正します。最高の画像品質を提供し、通常、開口数は最も高いです。

要するに、アクロマートは日常的な使用で費用対効果が高く、フルオリートは費用に対して見合った性能を提供し、アポクロマートは、求められる用途に応じて、最も高精度な解像度と色再現性を実現します。

対物レンズの名称にある「プラン」(プランアクロマート、プランアポクロマートなど)は何を意味しているのでしょうか?
プランは平面対物レンズを指しており、視野全体にわたって平坦でピントの合った画像を生成するよう補正されます。この補正がなければ、中心部にピントを合わせると、周縁部がぼやけてしまいます。プラン対物レンズは視野の弯曲を除去し、これにより、視野の端までがより鮮明になります。例えば、オリンパスMPLNシリーズ(プランアクロマート)の対物レンズは、視野全体で最適な平坦性を実現し、均一な鮮明さが得られるよう設計されています。これは特に、プラン以外のレンズを使用すると端がボケてしまデジタル画像処理や広視野接眼レンズの場合に重要です。
オリンパスのMPLAPONおよびMPLAPON-油浸対物レンズとは何ですか?どのような時に使用するのですか?

オリンパスの MPLAPON シリーズは、空気中で使用するよう設計された、高性能なプランアポクロマート対物レンズです。これらの乾燥式レンズは、優れた色補正と解像度で知られています。幅広い用途で色収差を補正し、画像再現性が極めて高く、明視野観察や蛍光観察、DIC観察において重要な標本を観察するのに最適です。

MPLAPON-油浸 は、このシリーズの油浸バージョンです。同じ高度なアポクロマティック光学系を搭載していますが、浸漬オイルを使用することで、より高い開口数(最大1.45のNA)が実現し、解像度が向上します。

低倍率にする必要があり、浸漬オイルの使用を避ける必要がある場合は、MPLAPON乾燥式対物レンズを使用してください。高い解像度と輝度(通常、60~100倍の倍率)が必要で、標本に浸漬オイルを使用できる場合は、MPLAPON-Oil 対物レンズに切り替えてください。

なぜ、浸漬オイルを使用すると、乾燥式対物レンズと比べて、対物レンズの解像度が向上するのでしょうか?
浸漬オイルは空気(1.0)よりも屈折率(約1.51)が高く、対物レンズがより広い角度で光を捉えることが可能になります。空気を媒体として使用する場合、理論上の最大NAは1.0となります(sin 90° = 1でn=1.0となるため)。実際、ほとんどの高性能な乾燥式対物レンズでは、NAは0.95程度が上限となっています。カバーガラスとレンズの間にオイルを用いることで、屈折率が1.51まで増加し、およそ1.3~1.4のNA値が得られます。このようにNA値が高くなると、レンズが微細なディテールからより多くの回折光を集めることから、解像度が大幅に向上します。このように、油浸レンズは、同じ倍率の乾燥式レンズよりも、より微細なディテールを映し出す(さらに、より明るい画像を生成する)ことが可能です。
オイルなしで油浸対物レンズを使うことはできますか?
いいえ、できません。指定された媒体がない状態で油浸対物レンズを使うと、性能が低下します。油浸対物レンズは、カバーガラスとレンズの間の隙間をオイル(n≈1.51)で満たすよう設計されています。オイル専用に設計されたレンズに空気(空気中、n=1.0)または水を使用すると、光線が正しく集束せず、球面収差と解像度の低下が生じます。製造元としては、油浸レンズを水や他の不適切な媒体と一緒に使用しないことを強く推奨します。必ず、対物レンズ用に指定された適切な媒体(オイル、水、またはグリセリン)を使用してください。そうでない場合、画像がぼやけたり、レンズの仕様で示された解像力が得られない可能性があります。
顕微鏡対物レンズの補正環とは何ですか?どのような時に使用するのですか?

補正環は、特定の高性能対物レンズに搭載される調整可能なリングで、カバーガラスの厚さや浸液の差を補正します。多くの対物レンズでは、0.17 mmの標準厚のカバーガラス(#1.5のカバーガラス)に対応するよう設計されています。お使いのカバーガラスがこれよりも厚いまたは薄い場合や、異なる屈折率の液体中で画像を撮影する場合、球面収差やボケが発生する可能性があります。

補正環を装着した対物レンズは、これらのばらつきに対してレンズを調整することができ、内部レンズグループを機械的に移動させ、焦点を再最適化します。補正環を調整してお使いのカバーガラスの正確な厚さに合わせることで、非標準厚さのカバーガラスによって生じる画像ボケや収差を防止することができます。実際、画像(特に焦点深度が深い)が最も鮮明になるまで、環を回します。底部が厚いライブセルチャンバーなど、カバーガラスや標本が標準厚さである0.17 mmから逸脱している場合は、最高の画像品質を維持するため、必ず補正環を使用してください。

なぜ、カバーガラスの厚さが0.17 mmであることが、対物レンズにとってそれほど重要なのですか?
高倍率の対物レンズは、0.17 mm厚さのカバーガラス(#1.5カバーガラスの一般的な厚さ)を想定して校正されています。対物レンズと標本の間で著しく厚いまたは薄いガラスを使用した場合、光線が意図した通りに収束せず、球面収差や色収差が発生します。これにより、画像にボケや歪みが生じます。多くの高性能対物レンズにはこのような収差を補正する補正環が搭載されています。対物レンズに補正環が搭載されていない場合は、推奨されるカバーガラス厚を使用することが重要です。標準の0.17 mm厚カバーガラスを用いることで、対物レンズの光学設計が最適に機能し、視野全体で鮮明な画像と正確な焦点を得ることができます。
Evident/オリンパスの対物レンズは、他社ブランドの顕微鏡と互換性がありますか?
互換性について、特に最新の無限遠補正システムについては、保証されていません。顕微鏡の対物レンズは、多くの場合、共通のネジ(例えば、オリンパスの多くの対物レンズに採用されているRMSネジ溝)を使用しており、オリンパスの対物レンズを他社製のレボルバーにねじ込むことが可能な場合があります。しかし、光学設計は以下の点で異なる場合があります。無限遠補正対物レンズを使用する際は、適切なチューブレンズ焦点距離と補正が必要です。例えば、オリンパスの無限対物レンズは、180 mmのチューブレンズ用に設計されている一方、他社のブランドでは、200 mmのチューブレンズを使用する場合があります。これらを組み合わせることで、有効倍率が変わったり、収差が生じる可能性があります。また、すべてのメーカーが、高性能レンズに同じネジピッチや同焦距離を使用しているわけではありません。要するに、EvidentやOlympusの対物レンズは、EvidentまたはOlympusの顕微鏡(またはそれら専用に設計されたもの)で使用することで、定められた性能を発揮することができるのです。別のメーカーの対物レンズを交換する前に、ネジの種類、チューブの長さ、光学的な互換性を必ず確認してください。
共焦点顕微鏡の対物レンズを選択する際は、どのような要因を考慮すべきですか?
共焦点顕微鏡は、高解像度と効率的な集光を必要とするため、主に、高いNAと優れた光学補正を考慮します。NAが高い対物レンズ(例えば、60倍/1.40の油浸または60倍/1.20の水浸)を選択し、できる限り多くの蛍光シグナルとディテールを収集します。共焦点およびその他の高倍率技術において、当社はNAの限界を突破し、解像度の向上を実現します。共焦点顕微鏡においては、優れた色収差補正(複数の蛍光チャネルをイメージングする際に重要)と、平坦な視野を提供するという点で、アポクロマート対物レンズが推奨されます。例えば、当社のオリンパスX Line™シリーズの対物レンズは、400~1000 nmの波長範囲において、NA、平坦性、色収差補正の改良を兼ね備え、多色共焦点モードイメージングに最適です。作動距離や浸液についても考慮します。厚みのある標本や生細胞には、水やシリコーン浸対物レンズは屈折率の不一致を軽減する上で有利になることがあります。スライド上の固定標本には、油浸レンズがより高いNAと解像度を提供します。
微分干渉観察(DIC)顕微鏡には、特別な対物レンズが必要ですか?
DICは、偏光とノマルスキー/ウォラストンプリズムを使用してコントラストを生成します。その結果、DIC用の対物レンズは,偏光を乱さないようにするために、主に歪みが少なく(内部複屈折がない)なるようにする必要があります。位相差対物レンズとは異なり、DIC対物レンズは通常、内蔵リングや特別な改良はなく、主に光学品質が高くガラス内の歪みが少ないことが条件です。当社のプラン対物レンズ(例えば、オリンパスUプランまたはMPLNシリーズ)はDICに対応するよう製造されています。多くの場合、DIC用であることが表示されているか、内部応力が最小限のため、優れた性能を発揮します。従来、「POL」や歪みの少ないレンズは偏光顕微鏡用に販売されていましたが、最近の多くのオリンパスアポクロマートおよびフルオリート対物レンズは、DIC用に十分使用できる歪みの少ない設計になっています。従って、DICで作動することが確認されている高品質なプランアクロマート/フルオリート/アポクロマート対物レンズを使用できることから、専用のDIC用対物レンズは必要ありません(お使いの対物レンズの倍率に設定されている適切なDICプリズムスライダーセットを必ず使用してください)。
ライブセルイメージング(生細胞や組織の長時間タイムラプス顕微鏡観察など)にはどの対物レンズが推奨されますか?

ライブセルイメージングでは通常、特に水やシリコン浸レンズなどの特殊な浸漬レンズが有効です。これらの対物レンズには、生細胞の屈折率(水はおよそ1.33、シリコーンオイルはおよそ1.40)に近似した屈折率を有する浸漬媒体が採用されており、水溶性標本をイメージングする際の球面収差を最小限に抑えています。

当社のシリコーン浸漬対物レンズは、ライブセルイメージングに最適です。シリコーン浸漬対物レンズ(例えば、オリンパスUPLSAPO 60XSシリコーン)は高いNA(およそ1.30)と、比較的長作動距離(およそ0.3 mm)で、厚みのある標本を撮影します。シリコーンオイルの主な利点は、37℃(98.6°F)で蒸発したり乾燥したりすることがなく、水浸法に比べて、長時間のタイムラプスイメージングが安定し、保守点検の負担が少いことです。水浸対物レンズ(NAがおよそ1.1~1.2)は、細胞用培地に自然に適合することから、特に短時間イメージングにおいて、生細胞の観察にも使用されます。ところが、水は時間の経過とともに、蒸発したり焦点ズレを生じることがあります。

長期のライブセル実験には、シリコン浸漬対物レンズが最も選択されており、乾燥や球面収差といった懸念点がなく、生体環境下で高い解像度と輝度を実現します。原則として、選択された対物レンズがお使いの顕微鏡と互換性があり、長時間使用するための浸漬オイルや水の供給システムが備わっていることを必ず確認してください。