黄綬褒章受章 今井 豊
情熱を持った後進を育成する事が永続的な技能継承になると信じています2020年黄綬褒章受章／2015年現代の名工受賞 今井 豊 いまい・ゆたか／1978年オリンパス（株）入社（現（株）エビデント長野） |
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人に負けたくない気持ちと改善意欲は人一倍強かったです
30代半ばのころ、東北大の有名な教授のところに単身で顕微鏡のフィールドサービスで伺い点検をする中で要求に対する対応ができず力不足を感じました。その後、対物レンズの知識だけではなく顕微鏡全体の知識拡大が重要だと考え、その取り組みを始めました。
また、40代ではパートナービジネスの一環で工業系の主要検査装置メーカー15社からの要求仕様に対応しさまざまな種類の製品を手掛けて生産対応してきました。紫外域のレーザーを使用する製品が多かったため性能確保に大変苦労しました。対物レンズ枚数の生産も最高枚数を経験し、設計者・技術者と幾度となくやり取りをする中で、難しい製品になればなるほど達成感がありました。
改善提案活動では、半年に1000件以上の改善提案を提出し工場1位を獲得し、全国改善提案委員会から表彰を受けました。人に負けたくない気持ちと改善意欲は人一倍強かったです。
国家技能検定では1位入賞を目指し猛練習し完璧な状態で本番に挑みました。しかし結果は、スピードにこだわり過ぎたため、早く作ることはできたものの減点が多く、不合格となり品質の大切さを痛感しました。
やり遂げた達成感が大きく、自信と誇りが持てるようになりました
入社10年目頃、新製品の立ち上げ担当を任され、開発・技術サイドと協業し、3年間で200種類以上の製品を立ち上げました。その時は、やり遂げた達成感が大きく、自信と誇りが持てるようになりました。当時の対物レンズは、画期的な光学系の無限遠設計であり万能な組み合わせで観察ができるようになった事で市場からの評価も非常に高かったです。今思うと、自身の会社生活の中で一番のターニングポイントだったと思います。
後進へのアドバイス
(1)誰にでもチャンスは必ずありますし与えられます。その与えられたチャンスや任務から絶対に逃げないで強い意志を持ってやり遂げて欲しいです。習熟に時間がかかっても、とにかくコツコツと日々積み重ねることで知識や技能の習得・拡大に繋がります。そして成長していけることを信じてさまざまなことに挑戦して欲しいです。
(2)携わっている製品が世界の人々にとって健康や安心につながる非常に重要な製品であることを誇りとして最高レベルの製品を提供し続ける情熱を常に持っていて欲しいです。
(3)ものづくりは1本1本に心を込めて作って欲しいです。その想いが出来栄えとしてお客様に伝わり、喜んで使っていただけると思っています。そして、それが信頼にも繋がります。
(4)同僚と積極的にコミュニケーションを取り合い、仕事面だけでなく、プライベートな部分でもお互いにアドバイスできるように心掛けて欲しいです。