工業用清浄度検査の一般的なサンプリング法
多くの産業において、工業製品には一定レベルの清浄度が求められます。製造設備、研究室、工業製品の表面に望まない粒子や残留物のコンタミネーションがあると、製品寿命の短縮、貧弱な製品性能、製品用途での危険が生じる可能性があります。
これらの危険性から、以下のような数多くの産業で清浄度規格が導入されています。
- 自動車・電気自動車製造
- 航空宇宙
- 医療機器製造
- 電力供給(ソーラーパネル製造会社、風力発電装置の運営会社など)
使い捨ての医療器具(注射器、フィルター、医薬品の容器など)も、厳密な清浄度規格に沿って製造する必要があります。ダウンタイム、材料ロス、エネルギー浪費を避けるために製造環境の清浄度をモニタリングする上で、規格に準拠した工業用清浄度検査システムの導入は極めて重要なステップです。
自動車、航空宇宙、電気工学、医療機器製造の各産業ではクリーンな製造条件と部品が求められます
このブログでは、工業用清浄度検査の最初のステップであるサンプリングについて説明します。このステップが全体の検査プロセスに占める位置について、および一般的なサンプリング法について見ていきましょう。
工業用清浄度検査のサンプリングワークフローの概要
清浄度解析の一般的なワークフローは、サンプリングのために製造の技術部品をランダムに選ぶことから始まります。サンプリングステップの目的は、解析のために微粒子コンタミネーションを収集することです。
サンプリングワークフローの最初のステップでは、部品から汚染物質を離します。粒子コンタミの抽出にはさまざまな方法があります。抽出とサンプリングの方法は、用途や産業に応じて選択します。
工業用清浄度検査のサンプリング法
以下の表に、工業用清浄度の主な適用分野と、それぞれに推奨されるサンプリング方法をまとめます。
清浄度検査の適用分野ごとの標準的なサンプリング方法
部品の洗浄とフィルターメンブレンによる不純物収集は、工業用清浄度サンプリングで最もよく使用されるプロセスです。ただし、解析の関心分野と適用分野によっては、粒子コンタミの有無の判別にその他のサンプリング方法が使用されています。手の届く外部部品表面から粒子を短時間で簡単に収集する方法としては、テープリフトサンプリングがよい例です。この方法は航空宇宙産業でよく用いられます。
フィルターメンブレン、粒子トラップ、テープリフトなどのサンプルを載せるサンプルホルダーは、用途に応じてさまざまな種類があります。以下のリストに、OLYMPUS CIX100コンタミネーション解析システムでサポートされている各種サンプルをまとめます。
- オイルや潤滑剤の解析
- 製造(医療機器、医薬品、自動車、電機自動車、機械)
- ホルダーはコーティングされていないため、溶剤の使用時に最適
- DIN 51455
- ISO 4406
- ISO 4407
- NAS 1638
- SAE AS4059
- ISO 16232
- VDA 19.1
- VDI 2083-21
47 mm径フィルターメンブレン(黒色の背景)用のフィルターホルダー
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材料:ナイロン(ポリアミド)、ポリカーボネート、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
寸法:25 mm、47 mm、または55 mm径の円形
色:白色または黒色
Colspan=2
- 自動車
- 電気自動車
- 機械
強力な溶剤を使用していなければ、このホルダーはメッシュフィルター用に最適です。
寸法:25 mm、47 mm、または55 mm径の円形
色:白色または黄色
- ISO 16232
- VDA 19.1
- VDI 2083-21
- 航空宇宙
- 宇宙技術
- 電子機器
- ソーラーパネル
色:透明
- ASTM E1216-11
- 製造工程(VDA 19.2)
- クリーンルーム
寸法:47 mm径の円形
色:白色
- VDA 19.2
サンプリング後の清浄度検査ステップ
サンプルを顕微鏡ステージに載せたら、次のステップはサンプルの不純物と粒子の解析です。この顕微鏡解析では、国際的な清浄度規格に基づいて粒子の検出と分類を行います。清浄度検査の結果は、以下のような粒子情報を含むレポートにまとめられます。
- 形状の特徴
- サイズ分布
- 粒子クラスごとのコンタミネーションレベル
- 区別する粒子タイプ:
- 繊維と非繊維
- 金属粒子と非金属粒子
清浄度検査の標準プロセス
金属粒子への特別な注意
硬さのある金属粒子は機械や電気の性質に大きな影響を及ぼすおそれがあるため、多くの清浄度検査において検出が重要視されます。
CIX100コンタミネーション解析システムのリアルカラーモードで表示された金属粒子
金属粒子は燃焼機関内で燃えず、長期にわたってさらされると部品の寿命が縮まります。また、金属材料は導電性が高いことから、電気自動車バッテリーの製造時に金属粒子が存在すると、ショートが発生してバッテリーの故障につながるおそれがあります。さらに、電気自動車を選ぶ人が増えるにつれて、金属粒子の検出はますます重要になっています。
このような例から、コンタミ解析中に金属粒子と非金属粒子を見分けることの重要さがわかります。金属粒子の確認方法については、ブログ記事粒子コンタミネーションをリアルな色で観察して金属粒子を確認をご覧ください。
今後のブログ:各サンプリング法の詳細
今後のブログでは、工業用清浄度検査の一般的な各サンプリング方法について、独特な用途や課題を含めて詳細に取り上げていきますので、ご期待ください。工業用清浄度の基礎、最も一般的に使用される規格、CIX100コンタミネーション解析システムの詳細については、オンライン資料をご覧になるか、ご不明な点をお問い合わせください。