マイクロ硬度試験の概要:ビッカースとヌープの比較
材料の硬度は、材料品質について検討する際の品質管理、合金開発、材料関連の課題における重要なパラメーターとなります。
このブログでは、材料硬度に関するいくつかの重要な質問に回答し、マクロ硬度とマイクロ硬度試験を使った測定方法についてご説明します。さらに、ビッカースヌープの方法に従ってマイクロ硬度テストを簡易化するためのシンプルなソフトウェアワークフローについてもご紹介します。
硬度とは?
硬度は、サンプルの変形(物理的な力によるサイズや形状の変化)に対する抵抗力を示します。材料の硬度を客観的に測定し、比較することは、適切な用途に適した材料を選択するための鍵となります。
硬度の試験方法とは?
硬度は、圧子を特定の力で一定時間、材料の表面に押し付けるテストで測定されます。この試験は、金属、合金、セラミック、ポリマー、フィルムなど広範な材料に適用できます。
マクロ硬度とマイクロ硬度試験:2つの違いは何ですか?
通常、大きなサンプルについては、マクロ硬度試験を行います。小さいものに関しては、マイクロ硬度試験で測定します。いずれも国際標準化機構(ISO)、米国試験材料協会など国際的な標準に従い実施されます。
この2つの方法の概要は以下の通りです。
1. マイクロ硬度試験
マイクロ硬度試験は、通常1 kg以上または約10ニュートン(N)以上の大きな負荷をかけたときの材料の硬度を測定します。この方法は、テストプロセスで適用される高負荷に耐えられる十分な大きさと堅牢さを持つ材料やサンプルに使用されます。
例えば、自動車産業、航空宇宙産業、建設産業、製造業、金属加工産業で使用される材料や機器が挙げられます。
2. マイクロ硬度試験
マイクロ硬度試験は、より小さな負荷(通常は10N以下)下での材料の硬さを微小スケールで測定します。この試験は、小さくて薄い、マイクロスケールでの精密測定が必要な、またはマクロ硬度試験に耐えられない材料やサンプルに使用されます。
例えば、薄いフィルム、コーティング、小さいコンポーネント、メッキ表面などです。この方法は、材料内のマイクロ構造の特徴に関する重要な情報が得られるため、故障解析、材料科学研究、製造における品質管理によく使用されます。
マイクロ硬度支援の比較:ビッカースとヌープ
マイクロ硬度試験では、ダイヤモンド圧子を試料表面に一定の力で一定時間押し付けます。この試験は、ビッカースやヌープ法に従って行われます。この2つの方法の主な違いは以下の通りです。
1. ビッカースのマイクロ硬度試験
ビッカースによるマイクロ硬度試験では、圧子は角度が136度の正方形ベースのピラミッド型のダイヤモンドを使用します。この正方形の形状により、ビッカースの硬度試験は、小さくて丸い形状のサンプルに適しています。
2. ヌープのマイクロ硬度試験
ヌープによるマイクロ硬度試験では、圧子は、ピラミッドを拡大したような形をしています。縦と横の比率が7:1で、長辺の角度は172度、短辺の角度は130度です。この長方形の形状により、ヌープ法は、小さくて長いサンプルに適しています。
ヌープ法はまた、小さくて浅いインデントを形成するため、フォイルのような薄い試料、間隔が狭いフォイル、試料端部付近のインデントにも適しています。さらに、脆弱なサンプルを試験する場合の負荷は通常ビッカースよりも軽いです。
顕微鏡によるインデントの観察と測定
マイクロ硬度試験でインデントを作成した後、それを顕微鏡で観察および測定します。これらの測定により、一定の圧縮負荷によるサンプルの変形に対する抵抗力を示す硬度数値が得られます。
硬度の数値は、試料表面に形成されたインデントの測定値に基づいており、付加した力をインデントの表面積で割ることで、1平方ミリメートルあたりのキログラム重(kgf/mm²)という硬度の単位が得られます。
- ビッカース法では、インデントの対角線の両方を測定し、その平均値を使って、ビッカースの硬度数を算出します。
- ヌープの試験では、インデントの長軸方向の長さ使って硬度数を算出します。
マイクロ硬度試験に関するカスタムソフトウェアのワークフロー
この測定プロセスを簡易化するため、エビデントでは特別なソフトウェアワークフローを作成しました。マイクロ硬度試験に関するエビデントのPRECiV™カスタムソリューションでは、ビッカースやヌープに基づき硬度数を判定します。
マイクロ硬度試験のソリューションを選択するには、PRECiVソフトウェアの右ツールウィンドウにある材料のソリューションのワークフローを使います。ワークフローエリアでは、選択したビッカース法またはヌープ法に従って測定手順を案内します。
測定が完了すると、結果はツールウィンドウのシートエリアに表示されます。ここでは、硬度数、対角線の長さ、交点の座標を閲覧できます。測定の統計も、右のワークフローエリアに表示されます。
結果の保存ボタンを押すと、データと試料固有のパラメーターがExcelワークブックまたはExcel互換ファイルとしてエクスポートされます。詳細なプロセスは以下の動画よりご覧ください。
この測定ワークフローのデモやご質問については、お気軽にエビデント担当者までお問い合わせください。