顕微鏡性能モニターのご紹介: 共通機器の管理者にとって優れたツール
蛍光イメージング実験において、再現性の高い画像データを得続けることが非常に重要になっています。共焦点顕微鏡は高解像である一方、システムの性能を維持し続けるには、定期的な保守点検が必要です。それを効率的にサポートするするため、顕微鏡性能モニターを開発しました。共焦点レーザー走査型顕微鏡FV4000専用に設計された顕微鏡性能モニターはユーザーがいつでも簡単にFV4000性能をチェックできます。
共焦点顕微鏡の保守点検における課題
共焦点顕微鏡は複雑なシステムであるため、性能を維持するためには定期的な保守点検が必要です。レーザーパワーが安定せず変動したり、検出感度やイメージング性能の変化などの要因により、再現性のあるデータを取得し続けることが困難になります。また、保守点検時でなければ性能が徐々に劣化していることがわからないケースがあります。
定期的な保守点検が重要なのは言うまでもありませんが、実際に使用するタイミングで性能を確認することができれば安心してシステムを使用できます。顕微鏡性能モニターはこれら懸念を簡単に解決すことができます。
顕微鏡性能モニターとは
共焦点レーザー走査型顕微鏡FLUOVIEW FV4000専用の顕微鏡性能モニターは、共通機器の管理者や研究者にとって画期的な機能です。蛍光イメージングにとってきわめて重要である、レーザー出力、検出感度、そして総合的なイメージング性能をモニターします。
顕微鏡性能モニターはこれらの係数を自動的に測定し、ご使用のFV4000が、一貫して確実に高品質な結果を出せるようサポートします。
共焦点顕微鏡の重要な性能要素を理解する
レーザー出力
レーザー出力は、サンプルを適切に照明するためにきわめて重要です。しかし、周囲温度の変化などが、レーザー出力の変動を引き起こす可能性があります。顕微鏡性能モニターにて得られたデータと顕微鏡が最初に設置されたときのイニシャルデータをソフトウェア上で比較します。相違がある場合、顕微鏡性能モニターが自動的にレーザー出力を調整し、常に一定のレーザー出力を維持します。これにより、蛍光画像データの再現性を確保することができます。
共焦点レーザー走査型顕微鏡FV4000の光路。
検出感度
光学ユニットの劣化または光学的な位置ずれにより、検出感度が低下する場合があります。顕微鏡性能モニターは、共焦点イメージングにとって重要となる、各検出器の感度とピンホールのアライメントを評価します。これらの要素をモニターすることで光学的検出感度を維持します。
ピンホールをマイナスにずらして撮影した画像(左)、中央に配置して撮影した画像(真ん中)、プラスにずらして撮影した画像(右)は、位置ずれが画像の品質におよぼす影響を示しています。
イメージング性能
微弱な蛍光を高精細且つ深部まで捉えることが共焦点顕微鏡には求められます。イメージング性能に関する不具合の要因は、対物レンズの傷、汚れ、間違ったイマージョンオイルの使用、補正環が調整されていないなど、多岐にわたります。しかし、どの要因が画像劣化に影響しているのかを特定するのは困難です。顕微鏡性能モニターは革新的な手法でイメージング性能を測定し、励起と蛍光検出の両方の単一点に対して、システムがどのように焦点をうまく合わせられるかを評価します。データ取得前に異常を直ぐに把握できる、どの要因に異常があるのかを特定できます。
3Dレーザー励起蛍光(LSF)を用いたイメージング性能の測定。
顕微鏡性能モニターの仕組み
顕微鏡性能モニターは特に顕微鏡の共通機器管理者の要望をもとに開発、さらに自動化とユーザーフレンドリーなインターフェースを実現しました。システムは自動的にレーザー出力、検出感度、およびイメージング性能をモニターするため、ユーザーによる専門スキルは不要です。顕微鏡の性能結果がレポート化されるため、大きなシステムトラブルが発生する前に、現時点での性能を共通機器の管理者が把握できます。
例えば検出感度が一定の閾値以下に低下した時など、保守点検を必要とする可能性がある場合、システムによるガイダンスが行われます。このシステムによって管理者は今後のダウンタイムが予測できるため、ダウンタイムの計画と最小化が可能になります。システムの仕組みに関する詳しい情報については、当社のホワイトペーパーをご参照ください。
顕微鏡性能モニターが共通機器の管理者とユーザーにとってメリットをもたらす5つの方法
顕微鏡性能モニターは、共通機器運営をサポートし、ユーザーは信頼性・再現性の高いデータをいつでも安心して取得することができます。
- 研究の再現性の向上: 安定した顕微鏡の性能を保証することで、顕微鏡性能モニターは研究者がより信頼性の高い、再現可能な結果が取得できるようサポートします。
- 保守点検の軽減: 自動点検と調整により、手動での保守点検作業にかかる時間を短縮します。
- 専門スキル不要: 顕微鏡の専門知識がなくても、簡単に装置の性能を確認できます。
- 不具合の早期検出: 性能不具合が実験データに影響をおよぼす前に、これを特定し対処できます。
- ダウンタイムの短縮: 性能データが明確に数値としてアウトプットされるため、トラブルが発生した場合にも、エビデントサービス担当者からの迅速な対処法もお伝えできます。
蛍光定量化のケーススタディー
顕微鏡性能モニターのパフォーマンスを評価するために、1カ月毎に測定した蛍光強度の値を比較する実験を行いました。顕微鏡性能モニターを用いない場合、おそらくは顕微鏡の性能のバラツキにより、データにもバラツキが生じるでしょう。しかし、顕微鏡性能モニターを使って同じ試験を実施した場合、結果は極めて一貫しており、実験の再現性を向上できることが示されました。
短時間で結果を改善
顕微鏡性能モニターは、常に共焦点顕微鏡の性能を把握し、共通機器の管理者とユーザーにとって大きなメリットをもたらします。安定した性能モニターと補正機能により、研究者は取得された正確なイメージングデータを安心して解析作業へと進めることができます。経験豊富な顕微鏡の専門家やエントリーユーザーに関わらず、顕微鏡性能モニターは実験の質と再現性の向上を提供します。
イメージングのニーズが急速に変化し、より定量性の高いデータが求められていく中で、顕微鏡性能モニターをはじめとするツールは、実験データの高い信頼性をサポートします。当社はお客様のニーズをヒアリングし、その実現に向けて製品開発を行っています。
顕微鏡性能モニターの詳細をはこちらデモのご要望は当社までご連絡いただくか、詳しい仕様や用途事例については、当社のウェブサイトをご覧ください。