顕微鏡性能モニターのご紹介: 共通機器の管理者にとって優れたツール

3種類のピンホール設定で撮影した同一の蛍光画像。

齊藤 慧

齊藤 慧

2024年 11月 6日

最終更新日:2026年1月20日

蛍光イメージング実験において、再現性の高い結果を得るためには、使用するツールの信頼性が極めて重要です。共焦点顕微鏡は高性能である一方、高品質なイメージングを維持するためには定期的な保守点検が必要です。その課題を解決するために、顕微鏡性能モニターを開発しました。FLUOVIEW™ FV5000 共焦点レーザー走査型顕微鏡 に新たに搭載されたこの革新的なツールは、共通機器の管理者やユーザーが装置を維持管理し、定量蛍光イメージングの精度を確保する方法を大きく変革します。

共焦点顕微鏡の保守点検における課題

共焦点顕微鏡は複雑なシステムであるため、性能を維持するためには定期的な保守点検が必要です。レーザーパワーが安定せず変動したり、検出感度やイメージング性能の変化などの要因により、再現性のあるデータを取得し続けることが困難になります。また、保守点検時でなければ性能が徐々に劣化していることがわからないケースがあります。

定期的な保守点検が重要なのは言うまでもありませんが、実際に使用するタイミングで性能を確認することができれば安心してシステムを使用できます。顕微鏡性能モニターはこれら懸念を簡単に解決すことができます。

顕微鏡性能モニターとは

当初は FLUOVIEW FV4000 共焦点顕微鏡向けに開発され た顕微鏡性能モニターは、共通機器の管理者や研究者にとって画期的なツールです。本システムは、蛍光イメージングにとって重要な3つの主要な性能要素(レーザー出力、検出感度、イメージング性能)をモニターします。

顕微鏡性能モニターはこれらの係数を自動的に測定し、ご使用のFV5000が、一貫して確実に高品質な結果を出せるようサポートします。

共焦点顕微鏡の重要な性能要素を理解する

レーザー出力

レーザー出力は、サンプルを適切に照明するためにきわめて重要です。しかし、周囲温度の変化などが、レーザー出力の変動を引き起こす可能性があります。顕微鏡性能モニターにて得られたデータと顕微鏡が最初に設置されたときのイニシャルデータをソフトウェア上で比較します。相違がある場合、顕微鏡性能モニターが自動的にレーザー出力を調整し、常に一定のレーザー出力を維持します。これにより、蛍光画像データの再現性を確保することができます。

The FV4000 confocal microscope’s light path.

共焦点レーザー走査型顕微鏡FV4000の光路

FLUOVIEW FV5000 confocal and multiphoton laser scanning microscope

IXplore™ IX85 倒立フレームを搭載した FV5000

検出感度

光学ユニットの劣化または光学的な位置ずれにより、検出感度が低下する場合があります。顕微鏡性能モニターは、共焦点イメージングにとって重要となる、各検出器の感度とピンホールのアライメントを評価します。これらの要素をモニターすることで光学的検出感度を維持します。

Images acquired with the pinhole shifted to the negative (left), centered (middle), and shifted to the positive (right) showing the impact misalignment has on image quality.

ピンホールをマイナスにずらして撮影した画像(左)、中央に配置して撮影した画像(真ん中)、プラスにずらして撮影した画像(右)は、位置ずれが画像の品質におよぼす影響を示しています。

イメージング性能

微弱な蛍光を高精細且つ深部まで捉えることが共焦点顕微鏡には求められます。イメージング性能に関する不具合の要因は、対物レンズの傷、汚れ、間違ったイマージョンオイルの使用、補正環が調整されていないなど、多岐にわたります。しかし、どの要因が画像劣化に影響しているのかを特定するのは困難です。顕微鏡性能モニターは革新的な手法でイメージング性能を測定し、励起と蛍光検出の両方の単一点に対して、システムがどのように焦点をうまく合わせられるかを評価します。データ取得前に異常を直ぐに把握できる、どの要因に異常があるのかを特定できます。

Measuring the imaging performance using 3D laser-stimulated fluorescence (LSF).

シミュレーションから得られた3D PSFおよび3D LSF(三次元ラインスプレッド関数)の比較

顕微鏡性能モニターの仕組み

顕微鏡性能モニターは特に顕微鏡の共通機器管理者の要望をもとに開発、さらに自動化とユーザーフレンドリーなインターフェースを実現しました。システムは自動的にレーザー出力、検出感度、およびイメージング性能をモニターするため、ユーザーによる専門スキルは不要です。顕微鏡の性能結果がレポート化されるため、大きなシステムトラブルが発生する前に、現時点での性能を共通機器の管理者が把握できます。

例えば検出感度が一定の閾値以下に低下した時など、保守点検を必要とする可能性がある場合、システムによるガイダンスが行われます。このシステムによって管理者は今後のダウンタイムが予測できるため、ダウンタイムの計画と最小化が可能になります。システムの仕組みに関する詳しい情報については、当社のホワイトペーパーをご参照ください

顕微鏡性能モニターが共通機器の管理者とユーザーにとってメリットをもたらす5つの方法

顕微鏡性能モニターは、共通機器運営をサポートし、ユーザーは信頼性・再現性の高いデータをいつでも安心して取得することができます。

  1. 研究の再現性の向上: 安定した顕微鏡の性能を保証することで、顕微鏡性能モニターは研究者がより信頼性の高い、再現可能な結果が取得できるようサポートします。
  2. 保守点検の軽減: 自動点検と調整により、手動での保守点検作業にかかる時間を短縮します。
  3. 専門スキル不要: 顕微鏡の専門知識がなくても、簡単に装置の性能を確認できます。
  4. 不具合の早期検出: 性能不具合が実験データに影響をおよぼす前に、これを特定し対処できます。
  5. ダウンタイムの短縮: 性能データが明確に数値としてアウトプットされるため、トラブルが発生した場合にも、エビデントサービス担当者からの迅速な対処法もお伝えできます。

蛍光定量化のケーススタディー

顕微鏡性能モニターのパフォーマンスを評価するために、1カ月毎に測定した蛍光強度の値を比較する実験を行いました。顕微鏡性能モニターを用いない場合、おそらくは顕微鏡の性能のバラツキにより、データにもバラツキが生じるでしょう。しかし、顕微鏡性能モニターを使って同じ試験を実施した場合、結果は極めて一貫しており、実験の再現性を向上できることが示されました。

短時間で結果を改善

顕微鏡性能モニターは、常に共焦点顕微鏡の性能を把握し、共通機器の管理者とユーザーにとって大きなメリットをもたらします。安定した性能モニターと補正機能により、研究者は取得された正確なイメージングデータを安心して解析作業へと進めることができます。経験豊富な顕微鏡の専門家やエントリーユーザーに関わらず、顕微鏡性能モニターは実験の質と再現性の向上を提供します。

イメージングのニーズが急速に変化し、より定量性の高いデータが求められていく中で、顕微鏡性能モニターをはじめとするツールは、実験データの高い信頼性をサポートします。当社はお客様のニーズをヒアリングし、その実現に向けて製品開発を行っています。

顕微鏡性能モニターの詳細をはこちらデモのご要望は当社までご連絡いただくか、詳しい仕様や用途事例については、当社のウェブサイトをご覧ください。

特集製品

FV5000

共焦点レーザー走査型顕微鏡

  • 革新的な技術がもたらす、驚異的な鮮明さ・スピード・信頼性
  • SilVIR™ディテクターが、フォトンレベルの定量化、高S/N比を実現
  • 比類なきダイナミックレンジで、信号スペクトル全体を捉え、輝度飽和を防止
  • 高速2Kレゾナントスキャンと高解像8Kガルバノスキャンを1つのプラットフォームに統合
  • FLUOVIEW Smart™ソフトウェアが、直感的な操作とAIによる自動化で使いやすさを向上
  • TruResolution™自動補正環が、20種類以上の対物レンズに対応し、最適な自動調整を実現
  • 最大10本のレーザーラインと将来的な多光子アップグレードに対応するモジュール設計
  • レーザーパワーモニター(LPM)が、照射の安定性と再現性のある結果を長期にわたり実現

詳細はこちら

FV4000

共焦点レーザー走査型顕微鏡

  • 革新的なダイナミックレンジで個体/組織レベルから細胞内微小構造のレベルまでマルチスケールのイメージング
  • TruSpectral分光検出器による、最大6CHのマルチプレックスイメージング
  • 固定細胞/生細胞のイメージングのために改良された高速・高解像スキャナー
  • より深部まで、高感度でイメージングが可能な先駆的NIR蛍光イメージング
  • SilVIRディテクター™により信頼性が高く、再現性が高い画像データを安心して取得
  • 405nmから785nmにわたり業界最大 * の最大10本のレーザーを搭載可能

*2023年10月時点、当社調べによる。

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齊藤 慧

齊藤 慧

グローバルライフサイエンスマーケティング、アドバンスイメージングソリューション、マネージャー

齊藤慧氏は東京農工大学で獣医学を学び(獣医師免許取得)、2007年にEvidentに入社し、アプリケーション専門家としてin vivoイメージングシステム、ハイコンテント解析システム、共焦点レーザー走査型顕微鏡を担当して、日本国内のお客様をサポートしてきました。 2013年には、Evidentのハイエンドシステム全ての販売促進を担当。 2018年にシンガポールに移り、アジア・オセアニア地区のマーケティングとアプリケーションのサポートを行い、2023年には再び日本国内でライフサイエンス製品マーケティングに着任しました。