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厚いサンプルをシャープに撮影するSILA光学セクショニング法

スライドスキャナーは、そのコンパクトな作りと幅広い用途から、研究者の人気を得ています。スライドスキャナーの代表的な用途の1つに、広視野(WF)蛍光観察と組み合わせた薄いサンプルの蛍光検出があります。厚みのあるサンプルの場合、エビデントのイメージングソリューションの中でおすすめなのがSILA(Speckle ILlumination Acquisition)光学セクショニングツールです。SILA光学セクショニングツールをエビデントのSLIDEVIEW™ VS200リサーチスライドスキャナーと組み合わせることで、デジタルスライド画像の高速光学セクショニングが可能になります。この方法を用いることで、厚いサンプルから焦点の合っていない光を除去してコントラストを大幅に高めることが可能になります。

広視野蛍光観察における制約

広視野(WF)観察は、比較的広いサンプル領域を特定の(励起)波長光で照らすイメージング法です。蛍光活性分子はサンプル内に分散し、蛍光染色という過程を経て特定の領域に結合されます。これらの分子が励起波長を吸収して、その後長い波長の光を発するのをカメラでとらえます。

カメラが収集する発光信号は、サンプル全体の励起光によりすべての分子から届き、励起光は十分な強度があります。そのため、十分に蛍光染色された焦点面の構造体は、焦点の合わない光によってボケが生じます。この問題を解決するのが光学セクショニング法で、ボケのないシャープが画像を得ることができます。

高速光学セクショニングを実現するSPARQ技術の導入

SILA光学セクショニングツールでは、HiLoアルゴリズム1とスペックルスクランブラーを組み合わせたSPARQ技術(開発元:Bliq Photonics)を使用して、高速光学セクショニングを実現します。広視野画像から焦点の合わない光を除去することで、共焦点観察と同様の性能を発揮します。1-3

この方法では、サンプルから2つの画像を取得します。1つは均一照明の画像、もう1つは確率的レーザースペックルにより空間的に構成された照明をサンプルに当てた画像です。両方の画像が取得されると、演算処理でまとめたボケのない画像が作られます。2つのイメージング状態間の移行には、図1に示すようにスペックルスクランブラーが使用されます。

厚いサンプルのホールスライドイメージングにおけるSILA画像取得

図1:SILA画像の取得

1. 均一照明

均一照明画像には、対象物からの焦点の合った信号と焦点の合わない信号が含まれています。焦点の合わない信号はボケて見えるので、空間周波数の低い成分のみが含まれることになります。単純なハイパスフィルターを均一照明画像に適用すると、焦点の合わない成分が除外されて、焦点の合った均一な高周波数画像になります。ただし、焦点面に存在する低周波数成分が抑えられるという望ましくない作用もあります。

サンプルの焦点面に含まれる低周波数成分を回復するには、高周波数で構成された照明(スペックルにより生成)を当てて処理します。このようにすると、低周波数信号を回復して、対象面からの信号のみを区別できます。

2. スペックル照明

スペックルとは、媒体の凹凸での拡散反射や拡散現象から生じる不規則変動のことで、レーザーなどのコヒーレント光源に特有のものです。これらの反射や拡散現象の干渉は、粗い確率的な模様をサンプルに投影します。4

スペックル照明では、サンプルに対して高周波数の空間変調が行われます。この照明の重要な特徴は、変調コントラストが顕微鏡システムの焦点面に限られる点です。したがって、画像変調のローカルコントラストを測定すると、対象物に焦点が合っている度合いや、焦点の合った成分が含まれている度合いが分かります。

3. 両画像の結合

均一照明画像からは、ハイパスフィルターを使用して、焦点面の高周波数を抽出します。スペックル照明画像からは、対象物に焦点の合っている度合いや、焦点の合った成分が含まれている度合いを、ローカルコントラスト測定によって判断します。ローカルコントラスト測定画像にローパスフィルターを適用すると、焦点の合った低周波数信号を取得できます。

このようにして、ハイパスフィルターとローパスフィルターを適切に調整することで、スペックル照明画像から取得した焦点の合った低周波数成分が、均一照明画像から取得した焦点の合った高周波数成分を補完できます。高周波数と低周波数の画像成分を結合すると、すべての周波数成分がイメージングシステムの周波数帯域幅内に収まる、焦点の合ったフル解像度画像が得られます(図2)。1-3

厚いサンプルのホールスライドイメージングにおけるSILA処理のステップ

図2:SILA処理を表す図

興味深いことに、セクショニング厚さ(ST)パラメーターという設定を変えるだけで、光学セクショニングの度合いを調整することもできます。STパラメーターを大きくするのは、共焦点顕微鏡のピンホールサイズを大きくするのに似ています。

ST値を上げると、SILA画像処理時に、より広い範囲からのスペックルコントラスト(より多くの信号量)が得られます。全体の輝度が高くなり、SN比(SNR)も付随して変わります。ただし、ピンホールの場合に信号の増大が焦点面外から集められたものであるのと同様に、STを大きくすると光学セクショニング能力の低いSILA画像になります。

SILA光学セクショニングツールを活用した実験事例

マウス腎臓の16µmクリオスタット切片(FluoCells Prepared Slide #3、F24630)を広視野(WF)およびSILA光学セクショニングツールでイメージングしました。STパラメーターは2に設定しました(VS200スキャナー、UPLSAPO40XS対物レンズ、NA1.25、300µm WD、Hamamatsu ORCA-Fusionカメラ)。これは、サンプルの厚さを考慮した上で、適切な照明パラメーターとして選択しました。STパラメーターが小さすぎると、スペックルに特有の確率的性質から、生成されるSILA使用画像に粒状性が見られる可能性があります。5

画像取得に使用された励起波長は488nmでした。マルチバンドダイクロイックミラー(DAPI、FITC、Cy3、Cy5用)と、Fluorescein isothiocyanate(FITC)用の単一発光フィルターを使用しました。カメラの露光時間は60msに設定しました。図3aはWF画像、図3bは同じ領域・同じZ位置でSTを2に設定してスキャンしたSILA光学セクショニングツールを用いたイメージングを示しています。サンプル全体にわたりコントラストの向上が見られます。1~4の領域に注目すると、SILA画像には広視野(WF)観察よりも細部が明らかに示されているのが分かります。

マウス腎臓サンプルにおける広視野(WF)イメージング法とSILA光学セクショニングツールを用いたイメージングの比較

図3:(a) Alexa Fluor 488小麦胚芽凝集素(W-11261)で染色したマウス腎臓の広視野(WF)画像。白い長方形は、比較構造の4つの対象領域(ROI 1~4)を示します。(b) STパラメーターを6.803µmに対応する2に設定し、SILA光学セクショニングツールを用いてイメージングした画像。はめ込み画像は、広視野(WF)およびSILA光学セクショニングツールを用いた画像の結合チャンネルによる拡大ROI(1~4)を示します(上半分:WF、下半分:SILA)。SILA光学セクショニングツールを用いたイメージングの画像コントラストが大きく改善されているのが分かります。それに対して、広視野(WF)画像の構造は判別が難しいものがあります。分解された微細な構造を示すため、詳細なROIは異なる輝度スケールで示されています。

SILA光学セクショニングツールに最適化された光学設計

SILA光学セクショニングツールは、広視野スライドスキャナー(エビデントSLIDEVIEW VS200)用に構築されていて、標準の蛍光光源をコヒーレント光源に交換します。このコヒーレント光は、シングルモードファイバーに接続したレーザーダイオードにより発せられます。シングルモードのレーザー光源がスペックルスクランブラー装置を通して投影されると、構成照明のサンプル面にスペックルが生成され、均一照明のスペックルが取り除かれます。レーザー照明とスクランブラー装置を正しく制御することで、それぞれのSILA光学セクショニングツールを用いた画像が演算処理されて貼り合わさり、光学セクショニングされたホールスライド画像ができあがります。

厚いサンプルに適したSILA光学セクショニングツールの光学設計

図4:SILA光学セクショニングツールの構造図。コヒーレント光源、均一照明またはスペックル照明を生みだすスペックルスクランブラー、サンプルへの光の取り込みと放射光の収集を担う対物レンズを含む光路、光検出器としてのカメラが含まれます。

品質測定

1. スキャン時間

SILAイメージングのスキャン時間を5mm × 5mmの小さな領域について試験しました。カメラ視野ごとに1対の画像を取得したにもかかわらず、SILA光学セクショニングツールを用いた画像の取得時間は広視野(WF)画像の倍になっていません。例えば、40倍の乾燥系対物レンズの取得時間は、53%増えただけです。詳しい結果を表1に示します。

表1:ORCA-Fusionカメラ(Hamamatsu Photonics)を使用し、4チャンネル(DAPI、FITC、CY3、CY5)、スキャン領域5mm × 5mmに対して50msの露光で取得した広視野(WF)画像とSILA画像のスキャン時間値を記録。スキャン時間の増加率は、倍率ごとに個別に計算されています。

2. 分解能

SILA光学セクショニングツールを用いた画像の光学分解能は広視野(WF)画像と同じです。高NAの対物レンズが持つ理論上の分解能は、横方向0.2µm、軸方向0.45µmとシミュレーションされています。実験での点広がり関数(PSF)値は、蛍光ビーズ(TetraSpeck Microspheres、0.1µm、蛍光青/緑/オレンジ/ダークレッド)を含むサンプルに油浸対物レンズ(UPLXAPO100XO、NA1.45)を使用し、放射波長520nmで測定されています。広視野(WF)画像の半値全幅(FWHM)は、横方向0.22µm、軸方向0.47µmです。理論上の計算値は、実験で極小ビーズについて測定したPSFと一致することが確認されました。

3. 光学セクショニング能力

SILA光学セクショニングツールを用いたイメージングの強みは光学セクショニング能力にあります。図5a~dは、図3のマウス腎臓の一部についてSTパラメーターを変えた例で、対応する直交ビューは図5e~hです。サンプル全体は、Z間隔を0.34µmに設定した39画像のZスタックとして取得されています。STを小さくすると、図5iに示すように構造と背景間のコントラストが大きくなるのが分かります。また、構造の細部も識別しやすくなります。

これを証明するため、各STパラメーターと広視野(WF)画像について、1つのZ切片の同一スポットのX方向ラインプロファイルを作成しました。標準化されたラインプロファイルと比較すると、SILA光学セクショニングツールを用いたイメージングは標準的な広視野(WF)システムより細部が鮮明にイメージングできていることが明らかに示されます。構造に対応する輝度ピークは背景輝度より高く、STパラメーターを小さくすると狭まります。

SILAの優れた光学セクショニングと広視野イメージングとの比較

図5:SILA照明による優れた光学セクショニングと広視野(WF)との比較。(a) WF照明、(b) SILA照明(ST10)、(c) SILA照明(ST5)、(d) SILA照明(ST2)。各画像には、ラインプロファイル測定とX方向の直交ビュー面(e~h)の位置を示す矢印があります。異なるSTパラメーターを持つ各SILA画像と各広視野(WF)画像は、X方向の直交ビューを含むZスタックとして取得されています。青色の線は、a~dに示されているのと同じZ面を示します。横方向の縮尺バーは20µm、縦方向の縮尺バーは5µmに相当し、すべての図に適用されます。(i) 記録されたラインプロファイルはa~bに示され、青色のWF、オレンジのSILA(ST10)、グレーのSILA(ST5)、黄色のSILA(ST2)に匹敵します。すべてのプロットは1に対して標準化されています。STパラメーターを小さくするとコントラストが高くなるのが分かります。

4. 視野深度

SILA光学セクショニング法では、厚さが数百ミクロンを超えるサンプルのイメージングが可能です。特にサンプルが透明な場合、SILAイメージングの浸透の深さを制限するのは対物レンズの作動距離だけです。サンプルが透明でない場合、光はサンプルの構造によって散乱し、より深い細胞層に届く妨げになります。6

マウス腸SILA画像の最大輝度投影

図6:a) マウス腸SILA画像(ST = 2)の最大輝度投影(MPI、188面、Z間隔 = 2.36μm)画像。血管(シアン)とリンパ管(マゼンタ)が示されています。b) (a)の白い破線の四角を拡大したROI 1を表し、青色の線はXZ直交ビューの位置、赤色の線はYZ直交ビューの位置を示します。c) 青色の長方形はYZ方向の直交ビューを示します。d) 赤色の長方形はXZ方向の直交ビューを示します。黄色の線は、(b)のZ面を示します。(FluoTissue 450 μmマウス腸切片、Sun Jinラボ、RapiClear 1.52で処理)

5. 再現性

SILA光学セクショニングツールを用いた画像処理では、均一照明およびスペックル照明画像の光学セクショニングを使用した画像の演算が可能になります。最終的なSILA画像で、スペックル構造が完全に除去されて見えなくなることが理想です。しかしながら、そうはなりません。スペックル照明では、本質的に信号強度のわずかな変動が見られます。例えば、ある画像でスペックルがサンプルの細部を照らす一方で、別の画像ではそうならないことがあります。この現象は、最終画像に見られる残留輝度の変動の説明になります。この変動は当然ながら確率的で、スペックル照明の強み(光学セクショニングと浸透深さ)でもあり、デメリット(信号強度の変動)でもあります。

信号強度の変動量を調べるため、4つの異なるSTパラメーター(図8aを参照)で連続する10スキャン(図7を参照)を記録しました。スキャンシーケンス全体の強度変動を定量化するため、サンプルごとに構造が含まれる90のROIを任意で選び、変動係数(CV)を計算しました。

ここで、Imean,ROIは単一スキャンの1つのROIにおける平均蛍光輝度です。stdstackとmeanstackはそれぞれ、10スキャンシーケンス全体のImean,ROIの標準偏差と平均値です。図7cは、25のROIにおける10スキャンの平均蛍光輝度プロファイル例を示しています。

CV(構造を含む領域について3つの異なるサンプルから計算)は、STに伴って低下します(図8b)。セクショニングパラメーターの値を大きくすると、スペックル画像に対する空間フィルタリングの強度は弱まり、SILA画像の輝度変動は小さくなります。3つの異なる構造について、90のROIを使って測定したSILA画像の変動係数は、平均で3.7±1.4%です。ちなみに、WFモードの信号強度変動は約0.3%で、システム固有のものです。

SILAイメージングによる染色されたマウス脳

図7. a) ST 10、倍率40Xで取得したマウス脳サンプル(Cy3染色、厚さ100µm)の画像例。各領域を同じ焦点面と領域で10回スキャンしました。b) シアンの対象領域(ROI)は、平均蛍光輝度(Imean,ROI)の測定において選択した構造を示しています。縮尺バーは50µmに相当します。c) 前述の選択したROIの平均輝度プロファイル。各ラインは1つのROIに対応します。解釈しやすいように、25のROIを含む画像の一部のみを示しています。

他の光学セクショニング法との比較

下の図では、SILA光学セクショニングツールを用いたイメージングを、標準的な広視野観察、ボケ修正アルゴリズム、デコンボリューション、共焦点レーザー走査型顕微鏡と比較しています。ボケ修正アルゴリズムを使用した標準的な広視野(WF)イメージングに比べて、SILA光学セクショニングツールを用いたイメージングでは、光学セクショニングとコントラストが大幅に向上しています。デコンボリューションと比較すると、SILA光学セクショニングツールを用いたイメージングでは画質が向上しています。また、大きなホールスライド画像にありがちな長い処理時間は、オンザフライ光学セクショニング機能によって短縮されます。

共焦点顕微鏡との比較では、SILA光学セクショニングツールを用いたイメージングは画質面で際立って近付いています。予想通り、広視野観察では背景に存在する蛍光の影響を受けます。共焦点とSILA光学セクショニングツールでは、サンプルに拡散反射の性質があるにもかかわらず、非常に高いコントラストの光学セクショニング画像が生成され、微細な細胞組織が明らかになります。SILA光学セクショニングツールと共焦点の画像の細部と輝度分散の空間的変動を比較するには、両者の違いをさらに調べる必要があります。ただし、定性的評価や共局在化の研究には、SILA光学セクショニングツールを用いたイメージングの性能で十分です。SILA光学セクショニングツールは、大量のサンプルをふるいにかけるための高速スキャン機器として役立ちます。そして対象構造を含むサンプルについて、定量的イメージングのために共焦点顕微鏡を活用できます。

プラナリアの広視野およびSILA画像

図9:プラナリアSchmidtea Mediterraneaの画像(20X対物レンズ)。次の3つの方法を比較しています。a) WF画像、b) ボケ修正アルゴリズムを使用したWF画像、c) STパラメーターを5に設定したSILA画像。青色:DAPI、緑色:腸内部細胞、赤色:腸外部細胞。サンプル提供:Amrutha Palavalli, Department for Tissue Dynamics and Regeneration, Max Planck Institute for Multidisciplinary Sciences, Goettingen, Germany. 縮尺バーは500µmに相当し、すべての図に適用されます。

厚いマウス脳の広視野およびSILA光学セクショニングツールを用いた画像

図10:MAP2で染色された厚いマウス脳の画像(20倍)。次の3つの方法を比較しています。a) 拡張焦点画像(EFI)投影を適用したWF画像、b) EFI投影とデコンボリューションを適用したWF画像、c) EFI投影を適用し、STパラメーターを2に設定したSILA画像。縮尺バーは50µmに相当します。

マウス脳の共焦点およびSILA画像

図11:グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)標識したマウス脳サンプル画像。ニューロンが示されています(20X対物レンズ)。次の3つの方法を比較しています。a) FLUOVIEW™顕微鏡で取得した共焦点画像、b) 同じ共焦点画像にデコンボリューションを適用、c) STパラメーターを2に設定したSILA画像。縮尺バーは50µmに相当し、すべての図に適用されます。

まとめ

VS200スライドスキャナー向けのSILA光学セクショニングツールを使用すると、厚いサンプルの画像コントラストが向上します。WF観察と比較すると、40X乾燥系対物レンズを使用時のスキャン時間は、平均して53%長くなります。非常に厚みのあるサンプル(最大500μm)で確認した結果、光学的深さを制限するのは光学系の作動距離だけです。SILA光学セクショニングツールの軸方向分解能は広視野(WF)イメージングと同じですが、光学セクショニングに優れていて、セクショニング厚さパラメーターで制御可能です。

STパラメーターの値を大きくすると、スペックル画像に対する空間フィルタリングの強度は弱まり、SILA画像の輝度変動は小さくなります。サンプルを使って測定した結果、変動係数は平均で3.7±1.4%でした。STパラメーター1からの大きな輝度変動は、STパラメーターを高くすることで制限できます。蛍光輝度の定量分析が必要な場合は、この調整を検討する必要があります。

このシステムでは、共焦点顕微鏡やデコンボリューションの適用と比べて、画像を迅速に取得できます。この技術は、厚みのあるサンプルの高速スライドスキャンに適用できるとともに、細部をくっきりと示す鮮明な高コントラスト画像の取得に役立つといえます。

参考資料

  1. Lim, D., Ford, T., Chu, K.K., and Mertz, J. 2011. "Optically Sectioned In Vivo Imaging with Speckle Illumination HiLo Microscopy." Journal of Biomedical Optics. 16, 016014.
  2. Lim, D., Chu, K.K., and Mertz, J. 2008. “Widefield Fluorescence Sectioning with Hybrid Speckle and Uniform-Illumination Microscopy.Optical Letters. 33, 1819–1821.
  3. Mertz, J. and Kim, J. 2010. “Scanning Light-Sheet Microscopy in the Whole Mouse Brain with HiLo Background Rejection.J. Biomed. Opt. 15, 016027.
  4. 4. Goodman, J. W. 2007. “Speckle Phenomena in Optics: Theory and Applications.Roberts and Company Publishers.
  5. Schniete, J., Franssen, A., Dempster, J. et al. 2018. “Fast Optical Sectioning for Widefield Fluorescence Mesoscopy with the Mesolens based on HiLo Microscopy.” Sci Rep, 8, 16259.
  6. Richardson, D. S. and Lichtman, J. W. 2015. "Clarifying Tissue Clearing." Cell. 162.2: 246–257.

著者

Anna Zelená(Evident Technology Center Europe、アプリケーションスペシャリスト)
Wei Juan Wong(EVIDENT Technology Center Europe、プロダクトマネージャー)
Gabriel Maranon(Bliq Photonics、プロダクトエキスパート)
Alicja Gąsecka(Bliq Photonics、研究開発および生産部長)
Mariêve Picard(Bliq Photonics、販売マーケティング部長)
Jeck Borne(Bliq Photonics、システムエンジニア)

Evident Technology Center Europe VS200チームの皆さんのご協力に感謝いたします。

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